2023 11,04 10:09 |
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長文になりますが、ユーフォニアムの歴史について興味を持たれる学生の皆さんへのメーセージです。後ほど公式ホームページにも掲載しますので、よろしくお願いいたします。
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ユーフォニアムの歴史について
〜 興味を持ってくださった学生の皆さんへ 〜
初めまして! 横浜ユーフォニアム合奏団の深石宗太郎です。 今日は私たちのページを見にきてくれてありがとう。
ユーフォニアムについて、もっともっと知りたい! との気持ちで来てくれたのかな〜? とても嬉しいです。
皆さんが、これからユーフォニアムの活動の歴史について調べる上で 前もって知って欲しいことを書きます。
きっと、これから役立つ大切なヒントが隠されています。 それでは、一緒に始めましょう!
その1 誰が何に基づいて言っているのだろう? ユーフォニアムを日本で最初に吹いた人を知っていますか? ユーフォニアムを日本で最初に制作した人は誰か知っていますか?
インターネットで検索をすると、今の時代では情報として、 このような記事を見つけることができますね。
とても簡単に見つかり、短時間で理解することができます。 でも、ここからが肝心で、その情報のエビデンス(根拠)となるものがとても大切です。誰が何に基づいて言っているかを調べる必要があります。 大学の論文、学術論文はこれがしっかりしていないと、エビデンスとして成り立たないので大学生はこのようなことは知っていると思いますが、もっと若い皆さんにも、 とても知って欲しいところです。
その2 一次資料について
調べているものは昔に起きた出来事なので、その時にその場を見た人以外は事実を知りません。タイムマシンは...むりですよね!
では、昔に起きた出来事を調べるときに、必要になる物は何でしょうか?
その時の当事者が書き残した記録の史資料をたくさん調べること!
記録は、公式の記録、日記、経歴書など、その本人や当事者が残した資料、 その時に作られた石碑や絵画なども含まれます。
その当時のリアルタイムの資料であることが大切です。 この資料のことを「一次資料」と呼びます。
例えば、皆さんの学校の吹奏楽部で、どのような演奏会が過去に開催されたのかを調べようとしたら、どうですか? 過去の演奏会のプログラム、またはポスター、チラシ、があれば、すぐに調べることが出来ますね。 その当時に、リアルタイムで作成されたポスターなので、日時や場所、曲目やメンバ ー、スタッフが記録されているので、これは事実となるのでエビデンスになります。
このような、「一次資料」と言うのは、その時に何が行われたことを確かめる上で、 最も大切なものです。
しかし、困ったことに、...誰かが言っていた、ちょっと楽しく盛ってしまう、事実と違う内容のもの、いわゆるフェイクと呼ばれる偽物がいっぱいある世の中です。
インターネットに掲載されているもの...誰々が言っていたから...と言うものは、一次資料かどうかの判断には細心の注意が必要になります。
その3 一次資料がない場合はどうするの? では、学校にもどこにも、当時のポスターもプログラムなどの記録が残っていない場合はどうしましょうか?
そうです!当時の顧問の先生や部員、当時の方を探してお話を聞くことですね。
幸いなことに、...当時の顧問にお会いできて、当時の演奏会について聞く事ができました。顧問は当時使っていた手帳にメモを残していて、日時や場所について教えてくださいました、また当時のメンバーについて、顧問の記憶から教えていただきました。それでこのメモや当時の記憶を元にこの演奏会についての記録になる資料を作る 事ができました...
この資料のことを「二次資料」と呼びます。
このように一次資料がなくても、後日その出来事について、当事者から聞き取りなどすることによって記録を残すことができれば、私たちはその出来事について知ることができます。 こういう場合もあります。...当時の部⻑が、メンバーの名前が違うのを発見しました。部⻑は、「私の記憶しているメンバーの名前が一部異なっていたので、書き直しました。」と言って、当時の部員の名前を修正して、新たに名簿を作成してくれまし た。
この部⻑が修正した新しい名簿も、「二次資料」です。
このように二次資料は、当時の記憶によって書かれていますから、記憶違いや、記載するときのミスも起きてしまいます。字に残すので似ているような漢字を間違って使 うこともあります。 また、何らかの事情から、その内容について手が加えられることも起きてしまいます。よくあることです。この結果、二次資料では、その内容が資料によって異なる事がよく起きます。 ですので、二次資料だけでは、その時に何が起きたかを正確に知ることはとても難しいのです。
その4 二次資料しかない場合はどうするの? 二次資料しかない!しかもその資料に異なる記載があった場合、私たちはどのようにして事実を知る事ができるのでしょうか。
ここはね〜...時間をかけてめんどうくさいことになっても、あきらめずに、一つひとつ丁寧にやっていくしかないんですよ〜
例えば、ポスターやプログラムがなくても、当時の町内会の会報のバックナンバーを調べたり、友達などに、...あの時何やったかな?...???もしかして?...やった〜! となることもあります。
色々なものを調べて照らし合わせる人も必要です。 「いつ、どこで、誰が、何をした」を基本に、○○高校吹奏楽部の演奏会が開催されます。という町内会の会報の記事を見つけました。
この記事だけでは本当に開催されたかどうかはわからないけど、この会報に演奏会の日時が掲載されていて、顧問の先生のメモにある日時が一致しました... さらに、学校に保管されていた卒業生アルバムを拝見しました。卒業生の写真と名前で確認したり、顧問の名簿と部⻑の名簿の記載を一人一人照らし合わせたりして、修正が出来て、新しく名簿を完成する事ができました。
この名簿も二次資料ですが、これまでの名簿などを照らし合わせたので、さらに正確にしたものができました。 これってすごく時間も手間もかかりますよね!
これらのように、ここに至るまでの努力とその過程が重要なのです!
一次資料、二次資料は、研究・調査の目的によって変化します。例えば新聞報道は、当時あったことを知りたい場合には二次資料になりますが、どのような情報が一般に伝えられていたのかということを知りたい場合には一次資料になります。 アプローチする対象に対して最もプライマリー(根本的)な情報を提供してくれるのが一次資料、それを誰かのフィルターを通したものが二次資料と考えてくださいね。
それでね、金管楽器や吹奏楽の歴史を調べるにあたって、断片的な資料をぱっと出してきて、...本当はこうだったんだよ! なことのお話し、切り取られた記事や記録などに出会ったら、どうしましょうか。 歴史だけではないのですが、どの分野にも、正論と持論が存在しています。持論が強いお話などは、きちんと調べたものではなく、ただ自分が信じただけのもの、先生や先輩が言っていたから、というだけで主張することが多いです。
どうしてこの資料だけを使って説明するのかな?...なるほどね〜...このようなストーリーができているのか...この方は、こう考えているのかな...と、すぐに鵜呑みにして信じてしまうのではなくて、一度立ち止まって、考えてみましょう。
もちろん、私たちが昔に書いた記事も含めてですよ! どのような資料にも書かれた方の思いが込められていますから、このことをよく理解して様々な情報に接してくださいね。もっと色々なチャンネルが出来て、世の中の見方が変わってたのしくなりますよ!
その5 まとめ 私たちの周りは断片的な情報で溢れています。それが一次資料なのかどうかをまずは確かめること、見極めることが大切になります。インターネットが普及して更に断片的な情報が増えていますね。
この資料は、「いつ、どこで、誰が、何をした」を、どのような意図を持って作成された資料なのか、ということを頭の片隅に置いて、一次資料、二次資料から様々な情報を集めて、この中から本当に大切なものが浮かび上がるといいですね。感性ですね! しかし、二次資料だけでは判断ができない事も多いので、二次資料に接する時は注意してくださいね。
このように、いろいろな情報を上手に集めてみると、皆さんのユーフォニアムに対するイメージが豊かになって、大きな理解につながることになると思います。
その6 最後にひとこと ユーフォニアムを学んで、一生懸命に練習して上達すればするほど、ユーフォニアムのことが好きになりますよね。私もそうです。それで、この楽器について、もっともっと詳しく知りたい!と思うようになりますが、これって、とても大切で、自然なことです。
この、知りたい!という欲求があるからこそ、私たち人類は様々な発見をしたり、発明をしたり、その後の技術の進歩があって、私たちの世界はより豊かな実りを得ることが出来ます。 皆さんとユーフォニアムについて、色々なお話しができる日を物凄く楽しみにしてい ます。
ここまで読んでいただきありがとう!!
皆さんの学生生活、音楽生活がより豊かなものになりますように!! 2023 年 11 月吉日 横浜ユーフォニアム合奏団 代表 深石宗太郎
2023 年 10 月 31 日に催されました、日本ユーフォニアムの祖「尾崎裕」についての懇談会において、開催発起人の三浦徹先生より今後のユーフォニアムの歴史に関する研究のさらなる発展のために、一次・二次資料の扱い、および人名については特に正確を記すように、とのご発言を受けましてこの記事を執筆しました。篠田雄一氏に本文の構成につきまして、内容につきまして清水唯一朗氏のご助言を賜りました。感謝申し上げます。深石宗太郎
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